Paper Altar

仏壇・仏具メーカー 若林佛具製作所と、紙の専門商社 竹尾の共同で開発を行なった「Paper Altar」のデザイン。 寺院の内陣を縮小したものとされている家庭の仏壇は、下地の素材として木や金属を使…

仏壇・仏具メーカー 若林佛具製作所と、紙の専門商社 竹尾の共同で開発を行なった「Paper Altar」のデザイン。
寺院の内陣を縮小したものとされている家庭の仏壇は、下地の素材として木や金属を使用し様々な工芸技術によって丁寧に装飾されたものが多く作られてきた。住環境や生活様式の変化によりこの従来の仏壇の姿は消えつつある中、「Paper Altar」プロジェクトの目的は、素材を身近にある「紙」とすることにより、宗教的な形式や慣習から離れ、現代のライフスタイルに即した祈りのカタチを探すことにあると考えた。
紙だからこそできる形状や質感を探求する中でその軽さと柔らかさに魅力を感じ、手で触れることが祈りに繋がるようなものができないかと模索した。

KAI
一見すると中まで詰まった重い塊に見える正十二面体は、開くことで中に空間が現れる仕掛けとなっている。正十二面体は5種類しかない正多面体の一つで、その高い対称性をもった形状は普遍的な美しさを感じるものである。閉じた時は安定したオブジェとして生活の中に存在し、開いた時は祈りの空間へと展開する。大切な人との思い出を入れる場所として、開閉によってその佇まいが大きく変化する切り替えのある祈りのカタチとなった。

TOH
軽さと強度のバランスの優位性から段ボールは古くより木材に代わる資材として梱包用に使用されてきた。その構造を支える波形状の美しさと断面方向から見た際に現れる透け感に着目し、正確にカットした60枚の段ボールを積み上げた六角柱を制作。内部の一部をくり抜くことで透ける度合いを調整し、光にかざすと人のシルエットが薄らと浮かび上がる仕掛けを施した。光に向かって持ち上げる動作が故人への祈りのきっかけとなり、前向きな気持ちへと導くカタチを目指した。

<展示会>
かみと祈り – Paper Altar –
2023年9月26日〜10月27日 / 会場:竹尾 青山見本帖
2024年5月24日〜6月23日 / 会場:竹尾 淀屋橋見本帖

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CLIENT
若林佛具製作所 / 竹尾
PHOTO
Keisuke Kitamura